赤子の手をひねる

容易にできることのたとえ。また、力量が劣る者をたやすく打ち負かすこと。

< 2025年02月 >
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てぃーだイチオシ
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ぶらぶら歩きながら

古本屋をそっちこっち覗いてから、神保町の盛り場へ出てお茶を呑んで帰って来た。まだそのころは映画も思わせぶりたっぷりな弁士の説明づきで、スクリンに動く人間に声のないのも、ひどく表情を不自然なものにしていたので、庸三はわざわざ活動館へ入りたいとは思わなかったし、喫茶店にも興味がなかったが、子供とではたまにそういう処へも足を容れるのであった。
翌朝庸三は持越しの衝動的な気持で、駿河台の旅館街を彷徨していた。
 ずっと以前に、別れてしまった妻を追跡して、日光辺の旅館を虱潰しに尋ねて、血眼で宿帳を調べてあるき、到頭その情人の姓名を突き留め、二人が泊まったという部屋まで見届けたという、友人の狂気じみた情痴に呆れたものだったが、今はそれも笑えなかった。機会次第では彼もどんな役割を演じかねないのであった。
 まず取っつきの横町の小さな下宿屋を二三軒きいてみた。ちょうど女中が襷がけで拭き掃除に働いている時間だったが、ある家では刑事と見られた感じを受けた。支那の留学生の巣が、ごみごみしたその辺に軒を並べていた。
 いい加減に切り揚げて、やがてその一区劃をぬけて、広い通りの旅館を二軒と、アパアト風の洋館を一軒当たってみたが、無駄であった。
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